2022年10月03日、ISSの日本実験棟「きぼう」における、ミッションプログラムコンペの地区予選の結果が発表されました!世界の各地域別に予選通過者を決定し、10/29に軌道上で決勝戦が行われます!
2022年10月6日には日本人宇宙飛行士 若田光一さんを含む4名の宇宙飛行士をのせた宇宙船「Crew-5」が米国フロリダ州ケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーション「ISS」に向けて打ち上げられました!
ここ最近、「宇宙−Space」がアツイので、これを機会に日本や世界の宇宙開発事情をちょっと覗いてみませんか?
日本の宇宙開発
日本で一番有名な宇宙開発事業団の代名詞はやはりJAXAでしょう。今回ISSへ飛び立った若田光一さんもJAXAに所属する宇宙飛行士です。
日本にはJAXA以外にも民間開発会社がありますが、今回はJAXAの状況をお伝えしたいと思います。
JAXA
JAXAは「国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構」の略称で2003年10月1日に設立されました。
前身である宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合して誕生しています。
日本政府の宇宙開発利用を技術的にサポートする中核的実験機構として位置付けられています。
9つの部門で成立していますが、今回プログラムミッションコンペの舞台になった「きぼう」は「有人宇宙技術部門」で開発しています。
ところで、そもそも「きぼう」とはなんでしょうか?
きぼう
「きぼう」とはISSに取り付けられている4つの実験モジュール、つまり実験棟の1つです。ISSの実験モジュールには下記の4つがあります。
- デスティニー :米国実験棟
- コロンバス :欧州実験棟
- きぼう :日本実験棟
- ナウカ :多目的実験棟(MLM)
「きぼう」はISSに4つしかない実験モジュールの一つですが、日本独自の実験棟なんですよ! 4つの一つで、日本製だよ! ヨーロッパの各国やロシアも独自の実験棟を持っていないんですよ! 日本ISSはすごいですね!
ISS
「きぼう」が設置されているISSはどうなっているのでしょうか?
ISSは国際宇宙ステーションの略称です。地上から約400km上空に浮遊した有人実験施設です。
約400kmとは地上の直線距離で東京〜大阪間になります。この直線の棒を垂直に立てると、ISSに届きますよ!宇宙って意外と近いんだね!
1998年から宇宙で建設が開始され2011年に7月に完成しています。
アメリカ(NASA)、日本(JAXA)、カナダ(CSA)、欧州各国(ESA)(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、スペイン、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)、ロシア(ROSCOSMOS)の15ヶ国が協力して計画を進め、利用しています。
宇宙活動の拠点であると同時に、国際協力と平和のシンボルになっています!(一応、ロシアも入っていますが、中国は入っていないんだね‥)
ZOZOの創業者、前澤友作さんも2021年12月9日未明に到着して、12日間滞在してました! 羨ましい!
ISSの概略はこんな感じです!.
項目 | 諸元 |
寸法 | 約108.5m×約72.8m(サッカーのフィールドと同じくらい) |
質量 | 約420トン |
電力 | 84〜120kw |
全与圧部容積 (圧力をかけている部分の容積) | 935m3 |
ISSの全体構成はこんな感じです!
こうのとり
日本製の宇宙船は他にもありますよ! 「こうのとり」(HTV)もJAXAの日本製です。
「こうのとり」はISS(国際宇宙ステーション)様々な物資を運ぶ輸送機で、世界的な信頼も得ています。
「きぼう」に取り付いているロボットアームも「こうのとり」初号機が6つの関節パーツを2009年に輸送して、「きぼう」の中で組み立てました。
そして2010年にエアロックから外に出して設置されました。
若田さんISSに到着! 2022年10月7日 6:01
若田さんは日本時間10月6日にクルードラゴンに搭乗してNASAから発射されました。
若田さんは今回5回目!ベテランです。同じクルードラゴンに搭乗した他の3名は皆さん 初参加。若田さんがみんなを引っ張っていくでしょう!
クルードラゴンは米国スペースX社の宇宙船です。CEOはあなたもご存じの、あのイーロン・マスクですよ!
クルードラゴンとISSのドッキングについて
クルードラゴンもISSも時速27,700km/hで移動しています。
つまり1秒間に約7.7kmの速さ!速い!速すぎる!
約90分で地球を1周、1日で約16周する速さ!!
この速度で、どうやってドッキングするのでしょうか?
映像を見ると、意外とゆっくり近づいているように見えますね!
この速度でドッキングしても破壊しないで接続できました!
なぜ壊れないのか? 詳細はわかりませんが、若田さんは無事にISSに乗り込みます!
ISSにおける今回の若田さんのミッションは半年の予定で、静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF 静電気力で試料を炉内で浮遊させながら、非接触で加熱、冷却することができる装置)を使用した高精度熱物性測定を行うそうです。
なんだか難しそうですね!
イーロン・マスク
イーロン・マスクは9月30日にTesla AI DayでAIロボット「Optimus」の試作機を発表しています。
常に話題を提供する人ですよね!
1段目のクルードラゴンは再利用されています。そのため、地球に戻ってきます。海上の船に着陸した瞬間は下記の動画で見れますよ!
すごい精度ですよね!遠隔装置が働いているのかなぁ‥‥でも独立動力なさそうですね。
遠隔でもAIでも、精度はモノスゴイのが、よくわかりますね!
イーロン・マスクについて奥が深いので、宇宙開発や他の分野も含めて、別の記事で記載していきますね!
JAXAイプシロンロケット6号機
2022年10月7日イプシロンロケット6号機が打ち上げられました。6号機には何が搭載されているのでしょうか?
搭載されているのは、「革新的衛星技術実証機」1基と「SAR」2基だけです。
言葉が難しいので、下記に簡単に解説しますね。
- 革新的衛星技術実証機:民間企業や大学の人工衛星を活用した技術を実証実験させる衛星
- 革新的衛星技術実証3号機:小型実証衛星3号機1基とCubeSat(キューブサット)5基で構成されています
- CubeSat(キューブサット):大学の研究室などが製作する数キログラム程度の小型人工衛星
- SAR (合成開口レーダー):電波を使用して地表の画像を得るレーダー。2025年以降に36機体制を構築し、約10分間隔の準リアルタイムデータ提供(定点観測・微小変化抽出等)を目指しています
5つのキューブサットを開発した機関はこちらになります。教育機関が多いですね。
- 名古屋大学:編隊飛行技術試 験衛星 (MAGNARO)
- 九州工業大学:民生用デバイス利用実証衛星 (MITSUBA)
- 米子工業高等専門学校:海洋観測データ収集 IoT 技術実証衛星(KOSEN-2)
- 早稲田大学:一体成型技術実証衛星 (WASEDA-SAT-Z ERO)
- 一般財団法人未来科学研究所:CubeSat搭載用超小型マルチスペクトルカメラ実証衛星 (FSI-SAT)
詳細はこちらです。
サイズは10×10×11cmから10×10×34cm! みんな小さいですよね!
両手に乗る大きさで、地上400kmの宇宙から地球の情報を入手するんですよ!
現状の技術でもすごいことですが、今後が楽しみですよね!
しかし!
これらの高額な高精度の機器を搭載していたにもかかわらず、機体の姿勢い異常が発生したため、地上から指令信号により破壊されました。
打ち上げ時間午前9時50分43秒で9時57分11秒に破壊信号送信。発射後、約7分で破壊されました。原因は今後旧を進めるようですが、とてももったいないですね。
イプシロンは2013年9月の初号機から昨年2021年11月の5号機まで連続して成功しています。
今回の6号機は本当に残念です。
イプシロン6号機の軌道
イプシロン6号機が実際に飛び立っていたら、どんな感じだったのでしょうか?
JAXAがCGで作成した軌道シミュレーションがあります。
とても良くわかる興味深いシミュレーションですよ!
2023年から民間企業に委託
イプシロンは今回の6号機で終了となります。最後に失敗したのはとても残念です。
今後は「イプシロンSロケット」に生まれ変わり、来年打ち上げを予定しています。
「イプシロンSロケット」は「H3ロケット」とのシナジー効果(相乗効果)を使用して、より早く、より高性能なロケット開発をしています。
2023年の打上げは民間企業に打ち上げを委託します。委託を受ける企業はIHIです。
「IHIエアロスペースイプシロンプロジェクト」の湊部長は自国で宇宙までの輸送手段を持たないアジアや世界の衛星の打ち上げを行っていくと述べています。
実際にベトナム向けの地球観測衛星「LOUTUSat-1」の打ち上げも受注しているそうです。
海外の衛星を日本のロケットが打ち上げるのは初めての事!
来年は無事に打ち上げる事が成功することを祈りたいですね!
「きぼう」ミッションプログラムコンペ【Kibo-RPC】の詳細
冒頭に記載したミッションプラグラムのコンペとはどういうものでしょうか?
このコンペは、宇宙飛行士をサポートするために開発されたISS内の船内ドローンである「Int-Ball(JAXA)」と「Astrobee(NASA)」のプログラミングをすることで、
さまざまな問題を解決する教育プログラムです。
このコンペは、世界各国の参加者同士が国境を超えた交流を行うことで、グローバルな人材としての能力を身につけることを目的としています。
2020年に第1回、2021年に第2回が開催され、今年は第3回目になります。
今年の具体的なゲームの内容は下記の通りです。今年使用されるドローンは「Astrobee」ですね!
世界各国の予選を勝ち抜いて、決勝戦進出を決めた参加チームは下記の通りです!
- オーストラリア:Dream Rover
- バングラデシュ:Enigma Systems
- インドネシア:Bondowoso 3 / Prime
- 日本:Space Lark
- マレーシア:IIUM ROBOTEAM AEROS-02
- 台湾:KIBO la na tsu bu KIBO /Robology Awesome Aliens
- タイ:solarSystem[3]
- アメリカ合衆国:CP-HSTAR
- ベトナム:BDMT
- ワールドワイドチーム(インドネシア / チュニジア):Bondowoso 2 / Pinnacle
さてタスクを実行できるでしょうか?
決勝の模様は2022年10月29日にYoutubeで生配信される予定ですよ!
結果が出ました!(更新版)
決勝の結果はJAXAのHPに出ています。
2022-10-29に動画がアップされましたので載せておきます。
動画が長いので、大まかなタイムスケジュールを載せて置きますね。
・最初に若田さんがISS内で競技の内容を解説します。(動画開始 約20分後)
・その後、各国がチームの自己紹介をして競技スタート。(動画開始 約22分後)
・全ての国が競技終了。(動画開始 約84分後)
・結果はCrew Awardを若田さんが発表。続いてトップ3が発表されました。(動画開始 約85分後)
見たいところまで、動画を飛ばしてくださいね!
最後に
今回は日本のJAXAを中心とした記事になりましたが、今後はJAXA以外の日本の宇宙事情や海外(米国のイーロン・マスクやジェフ・ベゾス、ロシア、中国など)の宇宙事情も記事にしていこうと思います! ご期待下さいね!
ところで宇宙開発には今後、AIが必須になるでしょう。そのAIも人がプログラミングしたシステムです。
プログラミングは日本政府も重視しており、2025年1月の「大学入学共通テスト」には「情報」が導入され、「国語」や「数学」などと並ぶ基礎教科になることを公表しました!
「情報」科目ではプログラミングやデータサイエンスに必要な統計処理、情報リテラシーの知識などを試されるそうです。
大学進学を目指している現在の高校1年生や中学生はプログラミングの勉強をしておいた方がいいかもしれませんよ!!
もっと小さい子は知育玩具で遊んでみるのもいいかもしれないですね。
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